
琉球新報コラム「南十字星に導かれて」
2016.05.03 /
2020.02.04
琉球新報コラム 落ち穂(2016年5月3日)
第9回「南十字星に導かれて」
八重山諸島では南十字星のシーズン到来だ。5月から6月中旬までの梅雨の中休みに見頃を迎える。とは言え、水平線近くの低い空にあるため雲がかかりやすく、そう簡単にはその姿を現してくれない。
南十字星は、日本本土からは見ることのできない、南半球を代表する星座だ。オーストラリアやニュージーランドの国旗にも象徴的に描かれている。全天88星座の中で最も小さい星座であるが、1等星を2つも持つ。ちなみに1等星は全天で21個しかない。日本では、宮沢賢治の小説「銀河鉄道の夜」で天の川を巡る旅の最後に登場することで有名である。
人生で初めて南十字星を見たのは2013年1月。世界で最も星空が美しいと言われるニュージーランドのテカポに訪れたときだった。空を埋め尽くす無数の星の光の中から、最も小さい星座である南十字星を見つけ出すのは容易ではない。しかも同じ十字架の形をしたニセ十字も近くにあり、最初はよくそれと勘違いしてしまった。現地の星空ガイドの方から見つけ方のコツを教わると、旅の終わり頃には瞬時に南十字星を捕らえられる腕前になっていた。
その4ヶ月後、今度は日本国内で初めて南十字星を見る機会に恵まれた。まだ石垣島に移住する前だったその頃、旅で訪れた西表島で南十字星に再会した。その印象は、空高く見上げたニュージーランドのものとはかなり違った。水平線上に浮かぶまっすぐに正立した十字架は、まるで誰かがそこに飾ったかのような凛とした佇まいで、思わず手を合わせたくなるような感動的な姿だった。
その年の10月、東京から石垣島に移住した。それから毎年この時期になると「今日は綺麗に見えた!」「今日は見えなかった…」あるいは「上の3つだけ見えた」といった具合に一喜一憂する毎日が続く。今年で3年目となる。
今振り返ってみると、13年は人生で初めて南十字星を見ることができ、八重山の旅でも見ることができ、気づけば石垣島に移住していた年だった。南十字星が日本の最南端へと導いてくれたような気がする。
星空ツーリズム社代表
上野 貴弘
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