琉球新報コラム「七つ星の物語」

2016.06.10 /  2020.02.04

琉球新報コラム 落ち穂(2016年5月31日)
第11回「七つ星の物語」
 
5月も終わるこの時期、日が暮れて間もない20時頃に北の空を見上げると、北斗七星が一年で最も高い位置に輝いている。おおぐま座の一部で、大きなひしゃくの形で有名だ。
北斗七星にまつわる伝承や民話は、世界各地に数多く存在する。それだけ、この七つの星の並びは、遠い昔から人々を魅了し、様々な物語を紡ぎ出してきた。
八重山では「北にある七つの星」という意味で「ニシナナツブシ」と呼ばれている。方言で北のことを「ニシ」と言うからややこしい。そして、もちろん八重山にもこの北斗七星にまつわる民話がある。
「星女房」という、北斗七星の上から二つ目に輝く母子星のお話。地上に舞い降りた天女が、貧乏でも真面目に働く青年と結婚し、かわいい男の赤ちゃんも生まれた。家族仲良く暮らしていたある日、北斗七星の星が六つしかないことが村中に気付かれ、天女が見つかってしまう。知られたからには天に戻らなくてはならない。天に昇る時、我が子だけは連れて行きたいと、赤ちゃんを抱きかかえて天に帰り、もとの七つの星に戻った。
実際に北斗七星の二つ目の星(ミザール)を双眼鏡で見てみると、その明るく輝く星のすぐとなりに、小さな星(アルコル)がちょこんと並んでいるのがわかる。本当にお母さん星と赤ちゃん星が寄り添っているように見えるから面白い。
八重山の古民謡「ムリカブシユンタ」にも北斗七星が登場する。天の神様が「この島を治めよ」と命令され、北斗七星はそれを断り北の空へ追いやられ、スバル(ムリカブシ)は命令に従い天の真ん中を通るようになった。北斗七星は、日本本土では北極星のまわりを一年中回り続け、沈むことはないが、八重山は緯度が低いため地平線の下に沈んでしまう。北の空に追いやられた逸話がそのまま実際の夜空で表現されている、八重山ならでの印象的な光景だ。
その土地に伝わる星の物語に思いを馳せて、この七つの星を見ていると、より生き生きと、あの特徴的なひしゃくの並びが心に焼きつく。
 
星空ツーリズム社代表
上野 貴弘
 
サトウキビ畑に沈む北斗七星
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